0735 理科教師のための作問入門(5) 技能に関する知識

 「知識・技能」という観点は、当然、「知識」と「技能」に分けることができます。前指導要領下の評価の観点でも「観察・実験の技能」「自然事象についての知識・理解」と別観点扱いでした。
 実は前指導要領の段階で、すでに教育基本法が改正されて学力の三要素が定義されていたため、本来は前指導要領下での評価の観点も3つにしたかったそうなのですが、時間がなく対応が間に合わなかった、と聞いています…合掌。

 このうち、「技能」については、ガスバーナーや顕微鏡などを正しく安全に操作できるか、観察したものをスケッチしたり、実験結果を表やグラフに正しくまとめたりできるかなど、理科として習得すべき技能を身に付けているか、という話です。なので、ペーパー試験で測れる技能は、たとえは表のデータをグラフ化しろ、みたいな出題を除けば、基本的には「技能に関する知識」を測っているともいえます。
 実際、ペーパーテストで顕微鏡の操作手順の並べ替え問題に正解できた生徒でも、対物レンズを近づけすぎてカバーガラスを割ってしまうことはよくありますよね。
 正確に「習得すべき技能を身に付けているか」を測るなら、実際に操作しているところを見るパフォーマンステストでないとわかりません。
 それはともかく、「技能に関する知識」は前指導要領下での観点別評価では「観察・実験の技能」に入れられていますが、「知識」の一部じゃないか、というツッコミはあっていいと思います。しかし、現行では「知識・理解」と一緒くたになったので、少なくとも現場レベルでは、どちらだ、と判断する意味はなくなってしまいました。

 それでも「技能」について話を戻すと、「技能に関する知識」というのも、その多くは「事実的な知識」に分類されます。そこで、あえて「(技能に関する)知識の概念的な理解」に分類されそうな問題を試しに作ってみました。

 ガスバーナーの炎が図1のように、小さい水色の三角形の部分ができ、ボーッとと音を立てています。炎の大きさを変えないで、適切な状態の炎にするためには、図2のガスバーナーのねじをどのようにすればよいですか。
図1 

ア AのねじをPの向きに回す   イ AのねじをQの向きに回す
ウ BのねじをPの向きに回す   エ BのねじをQの向きに回す

ガスバーナーのの炎が図1の状態になっているという場面で、「青くてボーッと音のする炎は空気が多い」「上のねじが空気調節ねじ」「Pの向きに回すと閉じる」という事実的知識を活用し、いい感じにできるかどうかをみる…わけです。実際の実験でもありそうな場面ですし。

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