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1143【力学的エネルギー1】仕事とエネルギー(1) 仕事はつらいよ

今日は、仕事の話です。

あ、理科でいう仕事です。理科でいう仕事は、日常生活でいう「仕事」とはちょっと違うのです。
今日は理科でいう仕事の定義について説明したいと思います。
定義なので、「私はそんなものに同意しないぞ!」とかわがままを言わず、そういうものだとご理解ください。
※「説明責任」は相手に説明する責任であって、納得させる責任ではない。

理科でいう仕事は、力仕事ですね。物体に力を加えて移動させたときに「仕事をした」といいます。

仕事を求める公式があります。

仕事(J)=物体に加えた力(N)×力の向きに移動させた距離(m)

この式、いろいろ注目するところがあります。
まず単位。ジュール(記号:J)です。どこかで見たことのある単位ですね。
物体に加えた力。ここはそれほど気にしなくてもいいかな。力を物体に加えるのは当たり前だから。
問題は「力の向きに移動させた距離」。この「力の向きに移動させた」というのがなかなかの曲者。ただの「距離」ではないのですよ。どういうことかはこの後すぐ!!

重力に逆らってする仕事

では、仕事の一つの例、「重力に逆らってする仕事」を見ていきましょう。
「重力に逆らってする仕事」というと難しそうな感じがしますが、持ち上げるだけの簡単な仕事です。
でも、物を持ち上げるということは、その物体にかかる下向きの重力に逆らって上に移動させるわけですから、大変です。つらいです。つらいから仕事なんです。楽だったら仕事じゃないんだよ、仕事ってのは大変なんだよ、つらいんだよ!!(妙に力説)。

…失礼しました。重力に逆らってする仕事の具体例を見ていきましょう。

①は10kgの物体を1m持ち上げている例です。
質量100gの物体にはたらく重力を1Nとすると、質量10kgの物体にはたらく重力の大きさは100N
持ち上げるにあたり、物体に100Nの力を加える必要があります。
※持ち上げるには100Nより大きい力が必要な気もしますが、ゆっくりと引き上げるのでしたら重力と同じ100Nの力を上向きに加えるだけでオッケーです。力がつり合えば、慣性の法則によって一度動き出した物体はたとえ上向きでも動き続けますから。

そして距離は1m。
したがって仕事は、 
100N×1m=100J
となります。

同様に
②は 100N×2m=200J
③は 200N×1m=200J
ここまでOK?

さあ、お苦しみはこれからだ。ここからは、「力の向きに移動させた」距離というところが実際の移動距離と違うケース。

「力の向きに移動させた距離」の「力の向き」とは、物体が実際に移動した方向ではなく、「重力に逆らってした仕事」なら重力に逆らった力の方向、つまり上向きをさすので、問答無用に上に何m移動させたかというところだけに注目します

④は斜め方向に移動させた場合。
斜めに1.5m移動させても、「重力に逆らって」、つまり上方向には1mしか動かしていません。
なので、「力の向きに移動させた距離」は1mとなり、
仕事は 
100N×1m=100J
となります。

⑤は水平にに移動させた場合。
いやな予感がしませんか?そうです。苦労して横に移動させたのに上方向には全く動いていません。
ということは「力の向きに移動させた距離」は0m、仕事も0Jとなります。
「逆らってする力」に対して垂直な方向に動かしても、仕事とは無関係なのです。
いくら横に動かしても仕事をしたと認めてもらえないんですよ!!
「上向き」という会社の方針と関係ない「横向き」の移動をがんばっても、それは仕事ではないんです!

⑥は下に1mおろした場合。
さらに嫌な予感がした人、いませんか?その予感は全く持って正しい。
上向きに何mという話をしているときに、こともあろうに下向きという逆の展開。

そう「力の向きに移動させた距離」は-1mとなるんです。
仕事は 
100N×(-1m)=-100J
となります。
「逆らってする力」に対して逆の方向、つまり自然に従っちゃうと、仕事はマイナスになっちゃうのです。自然に逆らってこその仕事なんですね。仕事はつらいよ。

でも、掃除の時間とかに机を横に動かすのも結構面倒なのに、上向きじゃないからという理由で仕事してないというのは、理屈では納得いくかもしれないけれど、気持ちの上では納得できない、そういう人もいるかと思います。
ご安心ください。そんなあなたのために、こんな仕事もご用意しました。詳しくは、次回。

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