1171 硫酸カルシウム と 塩化カルシウム

硫酸カルシウム

 ひとくちに硫酸カルシウムといっても無水と半水和物と二水和物があります。基礎データや詳しい性質をSDSから拾ってみると

無水(硬石膏) CaSO4 Mw=136.14 CAS 7778-18-9
  吸湿性あり 強い還元剤及び加熱環境でのリン酸と激しく反応する。
  加熱による分解で酸化カルシウム及び二酸化硫黄が生成される。
半水和物(焼石膏、ギブス、か焼) CaSO4・1/2H2O  Mw=145.15 CAS 10034-76-1
二水和物(石膏・軟石膏) CaSO4・2H2O Mw=172.17  CAS 10101-41-4
  水に溶けにくい(0.2g/100mL,20℃)。
  濃硫酸に溶ける(硫酸水素カルシウムとして溶解)。
  濃塩酸に溶ける(硫酸水素塩として溶解)。
  チオ硫酸ナトリウムおよびアンモニウム塩水溶液に溶ける(錯体を生成して溶解度が増大)。
   100℃の加熱で0.5水和物(焼セッコウ)に変化する。
  1000℃以上の加熱で、わずかに三酸化イオウと酸化カルシウムに分解し、硫酸カルシウムと酸化カルシウムの固溶体を生成する
  ジアゾメタン及び加熱環境でのアルミニウム粉末との接触により爆発を乗じる危険性がある。
  強い還元剤及び加熱環境でのリン酸と激しく反応する。

硫酸カルシウムの主な用途

ギブス包帯
 よく骨折したりすると固定のためにギプスをつけますよね。最近はプラスチックも使われますが、元祖は硫酸カルシウムです。
ギプス包帯は、包帯についている石膏末(せっこうまつ)CaSO4・1/2H2Oに、水を加えると硫酸カルシウムに水和物CaSO4・2H2Oとなり、固形化して硬化する性質を利用しています。
 CaSO4・1/2H2O+3/2H2O  ⇒  CaSO4・2H2O
ちなみに、二水和物は107~130℃に熱すると、また粉末の半水和物に戻ります。ということは、硬いギブスも加熱すると柔らかくなってしまいますね。

・肥料
 硫酸カルシウムの水和物だと、すでに水を含んでいるので、土に馴染みやすい、もっというと根から吸収されやすいのです。さらに、炭酸カルシウムや水酸化カルシウムなどと違い、これを使っても土壌のpHが変化しない、というメリットもあります。

・食品添加物
 豆腐の凝固剤として使われています。

中学校理科では

 中理では出番はあまりなく、マグマの粘り気と火山の形の関係を考えるためのモデル実験で使われることがあるかな、という程度です。

また、水への溶解度は0.24 g/100 cm3 (20 °C, 無水物) と、ぶっちゃけ溶けにくいですが、水の温度が上がるほど溶解度はさらに小さくなります

塩化カルシウム

無水 CaCl2  Mw= 110.99  CAS №:10043-52-4
二水和物 CaCl2・2H2O Mw=147.03  CAS №:10035-04-8

潮解性であり、吸湿性が強い。強い眼刺激。
用途:除湿剤、融雪剤、豆腐用凝固剤、食品添加物

グランドの砂ぼこり対策に塩化カルシウムを播くと大気中の水分から吸湿するので砂ぼこりが舞いにくくなる、という使い方もあります。
ほか、除草剤として使うこともできますが、逆に植物が生えてこなくなることや、住宅基礎や配管を腐食させてしまうこと、ひいては巻いた土地の資産価値が下がることさえありますので、できれば使わない方がいいでしょう。。。

コメント

タイトルとURLをコピーしました