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0483 硫黄

硫黄 CAS No:7704-34-9  S 32.0
言わずと知れた原子番号16番。

鉄と結びつける実験で登場します。黄色、それも微妙に薄いというか白っぽい黄色の粉末が印象的です。

毒劇には指定されていませんが、危険物の第2類 可燃性固体です。
何が危険かというと…

(1)硫黄は電気の不良導体で、摩擦すると静電気が発生しやすい
(2)硫黄の粉末は粉じん爆発することがある。
 ※(1)、(2)の合わせ技で静電気で粉塵爆発!も
(3)酸化剤と混ぜると加熱、衝撃等で発火する。
(4)360℃で発火し、二酸化硫黄SO2(亜硫酸ガス)を発生する。
(5)火災になるとSO2のような刺激性、有毒、腐食性のガスを発生するおそれがある。

で、ちょっとおもしろいのが貯蔵に使う袋なのですが、
粉末状の硫黄は、2層以上のクラフト紙袋か麻袋
塊状の硫黄は麻袋やワラ袋が使えるのです。
もちろん密栓して容器に保存すりゃいいのですが、こんな手も使えるということで。

それから、いろいろな会社の硫黄のSDSを見て気になったことが一つ。
火災発生時の消火方法なのですが、多くの会社が出しているSDSでは火災時の措置に使われる消火剤として
水(噴霧), 二酸化炭素, 泡, 粉末消火剤, 砂
などとあります。水が噴霧なのは棒状だと融点が低いので融けた硫黄が流動してまずいからです。

それはいいのですが、厚労省の職場の安全サイトの硫黄のSDSではこんな記述があります。

5.火災時の措置
消火剤 水噴霧、泡消火剤、粉末消火剤(水素化炭酸塩を除く)、乾燥砂類
使ってはならない消火剤 炭酸ガス、水素化炭酸塩の粉末消火剤
特有の危険有害性 熱、火花及び火炎で発火するおそれがある。
激しく加熱すると燃焼する。
火災時に刺激性、腐食性及び毒性のガスを発生するおそれがある。
特有の消火方法 危険でなければ火災区域から容器を移動する。
安全に対処できるならば着火源を除去すること。
消火を行う者の保護 適切な空気呼吸器、防護服(耐熱性)を着用する。

おわかりいただけただろうか。
他のSDSでは火災時の措置に使われる消火剤として示されている、炭酸ガス、つまり二酸化炭素CO2と水素化炭酸塩の粉末消火剤、これはもう炭酸水素ナトリウムの消火剤を言っているんだろうね、これらを「使ってはならない」としているのです。
さてどちらが正しいのでしょうか。もし職場の安全サイトの方が正しければ、他のサイトのSDSで、使ってはならない消火剤を推奨していることになりますが…!?

棒状硫黄

♪棒状硫黄、さらしに巻い~て~ 『月の法善寺横町』とか古すぎますね。

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棒状の硫黄です。

なんか野菜スティックに紛れ込んでいても気が付かないで食べちゃいそうです。
どうも、液状のものを鋳型に入れてつくるみたいです。
写真の棒状硫黄は12cmですが、途中で折れているようで、実際はもっと長いものなのかもしれません。
それにしても、わざわざ棒状にして、どのような用途で使ったのでしょうか。

昇華硫黄

昇華硫黄っていうのもあります。
火山の火口から出てくる気化した硫黄を含むガスが、外で冷やされて昇華した(気体から固体になる方))します。それを掘り出すなり、あらかじめ取り出しやすいところに昇華させるなりして得られたのが昇華硫黄です。

硫黄のにおい

温泉などで「硫黄のにおいがする」といわれることがありますが、物質としての硫黄は無臭です。
あの腐った卵のようなにおいは硫黄Sではなくて硫化水素H2Sのにおいです。

硫黄がらみの事故、というのも、結局は硫黄そのものがやらかすというよりは、硫化水素が手を下す例が多いです。
硫黄貯蔵タンク内で硫化水素が爆発し屋根を破損石油エネルギー技術センター事故事例リストより)
溶融硫黄屋外タンクの開放時の硫化鉄の着火による火災(失敗学会・失敗知識データベース)
硫黄製造工程の定期補修工事において、沈降槽内の硫黄を掻き落とす作業中に爆発が発生(職場のあんぜんサイト)

米国ワイオミング州で硫黄の山の幻想的な災の火災(世界の貯蔵タンク事故情報)
早瀬喜太郎:昇華硫黄鉱床の硫黄の根源について,日本鉱業会誌,70,493-496,1954

あとそして、その陰でこっそり二酸化硫黄も悪さしていると私は読んでいます。

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