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0148 【エネルギーと物質02】エネルギーとエネルギー資源(2) エネルギーの変換

エネルギーは変換できる

 エネルギーの形態とか種類とかいわれるものは、運動エネルギーとか電気エネルギーとかいろいろある、ということは前回学習しました

 そして、ある形態のエネルギーが別の形態に変換されることは、日常生活や社会であたりまえのようにみられます。

たとえば前使った衝突実験器では、高さ10cmとか20cmとか、高い位置にある球がもつ位置エネルギーを、レール上を転がすことで運動エネルギーに変えて木片に衝突させていました。

化学電池は、化学エネルギーから電気エネルギーを取り出す装置だと学習しました。

他にもいろいろな例があります。


 この図の中では光合成とマイクのエネルギー変換について説明が必要かもしれませんね。光合成には光が必要だから変換前のエネルギーは光エネルギーというのはわかるかと思います。問題は変換後の化学エネルギーの方でしょう。
 光合成では二酸化炭素と水を材料にデンプンのような有機物と酸素を作ります。この有機物を酸素を使って燃やせば、熱や光などのエネルギーを放出して二酸化炭素や水(光合成の材料)に戻ります。ということは、有機物+酸素は二酸化炭素+水に比べて、燃焼したときに出る熱や光の分だけエネルギーを多くもっているといえます。そしてそのエネルギーは、有機物+酸素という物質がもつエネルギー、すなわち化学エネルギーです。
 マイクは音を拾って、それを電気信号に変えていますから音から電気となります。

エネルギー保存の法則

 このように、エネルギーの姿はいろいろ代わっていきますが、エネルギーが変換されることによって、エネルギーの量が減ったり増えたりすることはありません。これをエネルギー保存の法則といいます。
 以前、振り子を例に、力学的エネルギーの保存の法則について学習しましたが、力学的エネルギーの保存の法則は現実の振り子では成り立ちませんでした。位置エネルギーと運動エネルギーの間で変換しているうちに熱エネルギーや音エネルギーにもなってしまうからです。
 しかし、現実の振り子でもエネルギーの保存の法則なら成り立ちます。力学的エネルギーと熱や音のエネルギーの合計は、振り子が大きく動いていた時も、最後に振り子が止まってしまった時も同じなのです。それは、最初は力学的エネルギーだったのが最終的に全部熱エネルギーなどに変わってしまったわけですね。

必ず損をするしくみ

 ところで、手回し発電機(ゼネコン)で発電して電球などを光らせるとき、発電機の歯車からギーギー音が聞こえませんでしたか?だとしたら、音エネルギーにも変換されてしまったということです。また、ずっと回していると、導線や歯車が少しだけ熱くなります。つまり熱エネルギーにも変換されているのです。ほしいのは音や熱エネルギーではなく、電気エネルギーなのに、です。
 1000円払ってほしいものを買って、買った商品がリボンのついた素敵な箱に入っていたとします。すると、払った1000円の中にはリボン代とか箱代とかが含まれていますから、箱の中に入っている商品そのものの値段(価値)は1000円より安いはずですよね。
 「仕事の原理」のところでは、道具を使っても仕事を得することはない、1000円を払って2000円の商品を受け取ることはできない、とありましたが、今回は1000円払っても1000円の商品さえ受け取ることはできない、という話です。
 決してお店の人がアコギな商売をしているわけではありません。商品代と箱代・リボン代を合わせるときちんと支払った1000円になります。これが「エネルギー保存の法則」です。
 それと同様に例えばゼネコンのハンドルの運動エネルギーを支払って、電気エネルギーをもらおうとしても、運動エネルギーと同じ量ではなく、熱や音になった分だけ差し引かれてしまうのです。
 ほしいのは電気エネルギーですから、熱や音のエネルギーはムダなロスということになってしまいますが、残念ながら、エネルギーを変換する際にこのロスを完全になくすことはできない、ということがわかっています。私たちは損をする運命なのです。
 いうならば昭和のCMにあった100円でカルビーのポテトチップスは買えますが、カルビーのポテトチップスで100円は買えないという等価値のはずなんだけど不可逆という話です。
 ポテトチップスを入れる箱代やリボン代、そして店員さんの手間賃こそが熱などのエネルギーに該当するわけですが、お店で買う以上、店員さんの手間賃はゼロにはできないわけです。

エネルギーの変換効率

 エネルギーを変換したとき、返還前のエネルギーの何%が得られたか、この割合をエネルギーの変換効率といいます。変換効率は高い方がエネルギーを無駄なく使っていることになります。
 1000円払って、700円の商品を手にすることができたら(このときの箱代は300円ですね)、変換効率70%ということになります。変換効率が高いということは、同じ金額を払ったとき、無駄な箱代などの経費を安く済ませて、その分高い商品を手に入れられるということです。

 白熱電球の変換効率は約10%。100の電気エネルギーを使って、得られる光のエネルギーは、たった10ということになります。
 白熱電球は、フィラメントのジュール熱で高温化させて光っています。そのため、大量の熱エネルギーが発生するのです。
 これが蛍光灯になると変換効率が20~25%。100の電気エネルギーを使って、20~25の光エネルギーがえられます。10の光エネルギーが欲しければ、白熱電球なら100必要だった電気エネルギーが40~50程度ですむのです。だから白熱電球から蛍光灯の方が省エネになります。
 さらにLED電球に至っては、30~50%以上の変換効率。50%とすれば、10の光エネルギーを得るのに、20の電気エネルギーですむというわけですから、LED電球自体は高くても取って代わられるわけです。
 そんなわけで、もはや白熱電球など見かけることが少なくなりましたね…。
 ♪光る、ひかる東芝~でおなじみの東芝ライテックは2010年に一般の白熱電球の製造を中止しています。
 豆電球についても、日本では理科の実験以外に需要がなく、もう作られていません。ではなんで豆電球があるかというと、海外で別の用途に使われているのを譲ってもらっているんだそうです。もし海外で、本来の目的の方で製造しているのをやめたら、日本で豆電球は手に入らなくなるのです!という話を以前、教材会社の方から教えていただきました。その話を聞いて豆電球をたくさん買いだめしておいたとさ

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デンキナマズ、デンキウナギすごすぎ!
 Vol.26 エネルギー変換効率100%!? 発電生物見参

だから電気自動車なわけですよ。
 電気モータのメリット(東海大学木村研究室)

蛍もなかなかやりますねぇ
 変換効率のお話(月刊基礎知識)
 

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