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0159 【エネルギーと物質04】エネルギーとエネルギー資源(4) エネルギー資源

省エネがなぜ必要か?

 以前、エネルギー保存の法則ってやりましたよね。そうするとこういう質問する人がいるんですよ。

 「エネルギー保存の法則」でエネルギーは減らないっていってるのに、どうして世の中では省エネしなきゃって騒いでいるの?

 あなたならどう答えますか?
 石油や天然ガスが後何十年かでなくなってしまう、だから省エネしなくちゃというのを聞いたことがある人も多いでしょう。だとすると、エネルギーが減らないっていうのはどういうことなのか、でも「エネルギー消費」とかいうよね…。

 これもお金で考えてみましょう。一つ質問に答えてくださいな。
 あなたがお金を使うとお金は減りますか?

 そりゃ減るでしょう。使ったんだから。
 …いや、減る?本当に減る?
 減るのはあなたのお金であり、紙幣や硬貨(キャッシュレス時代ですが現金が分かりやすいので)自体は他人の手にに渡っただけで決してなくなっていませんよね?減らないんじゃないですか?
 あなたが買い物をしようがしまいが、あなたを含めた世の中に出回っているお金の総量は変わらない、これがエネルギー保存の法則の本質です。エネルギー保存の法則とは、世の中全体をトータルで見た法則なのです。

 ってことは、やっぱりというか当然というか、自分の財布の中にあるお金は使うとなくなっちゃうのですよ。それと同じように、私たちがエネルギーを使うことで、熱とか使えねー(使いにくい)エネルギーが増えて、電気エネルギーのような便利に使えるエネルギーが減ってしまうのです。

エネルギー資源

 そしてその「使えるエネルギー」のもとがエネルギー資源というわけで、石油、天然ガス、石炭の化石燃料、原子力 、水力、地熱、風力、太陽光、バイオマス等があります。

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 次に、これらのエネルギー資源を用いて、みんな大好き電気エネルギーを得る発電の方法、特に今日は現在主流の、大規模に発電できる発電方法を見ていきましょう。

様々な発電方法

 手回し発電機では、手でハンドルを回すと、発電機の中で導線の周りの磁界が変化し、電流が発生します(電磁誘導)。

 太陽光発電(と温度差発電)以外の発電方法は、基本的にこの原理で回っています。違いは、どうやって手回し発電機のハンドル(発電所で言えば「タービン」という機械的な回転運動をつくる装置)を回すか。それが水力だったり火力だったり原子力だったり風力だったり地熱だったりするそこを念頭に各発電の仕組み、そしてメリットとデメリットを見てみましょう。
 タービンについて詳しくは東京電力のYoutubeがわかりやすいかな。

水力発電 

 水力発電の仕組み

 ①ダムのような高いところに水を貯める(位置エネルギー)
 ②そこから流れる水の力でタービンを回す(運動エネルギー)
 ③電磁誘導で発電する(電気エネルギー)

水力発電のメリット

 単純に水を落とすだけで発電するので、
  ・発電したからといって資源である水がなくならない
  ・二酸化炭素や放射性物質など人間や環境に悪影響を与える物質が発生しない
 ※この点は、後で出てくる火力発電のデメリットと比較してみよう。

 発電指令から5分程度で最大出力に達するので、発電量の調整が容易
    ⇒電力がたくさん必要なときに稼働させる。

水力発電のデメリット

 水資源自体はなくならないものの、ダム(高いところ)に水がないと発電できない。
  ⇒降水量が少ないと、水不足となって発電量が少なくなる。

 新しい水力発電所(とくにダム)の建設には莫大なお金がかかり、また、自然環境や地域住民に大きな負荷を与える。

揚水発電

 水力発電は電力がたくさん必要な時は水を上から落として発電しますが、上に水がないとアウトです。一方、夜は電力の需要が少ないので、水力発電所は休んで、他の発電所が作った電力だけでも使いきれず余ってしまうことがあります。
 そこで、その余った電力を使って、水力発電所の下にある水を上に上げていくということをやっている水力発電所もあります。これが揚水発電です。

 東京電力玉原発電所は揚水式の水力発電所です。
 
 昼間の電気がすっごく必要なときは上ダムから下ダムへ水を落として発電するのは普通の水力発電所と同じですが、夜中に電気が余ったときに下ダムから上ダムに柏崎刈羽の電気を使って持ち上げます。こうすることで、昼と夜の需要の差に対応するわけです。
 もっとも、水を持ち上げるときに必要なエネルギーを100とすると、同じ量の水が落ちることで発電できる量は70程度になります。つまり使えば使うほどエネルギー的に損するのがエネルギーの世界の掟ですが、「明日の幸せより目の前のゼニ(by鶴光)」ということで、必要なときに必要なだけ使えることを優先しているのです。

火力発電

火力発電のしくみ

①石油とか天然ガスとか石炭などの化石燃料(化学エネルギー)
②化石燃料を燃やして高温高圧の水蒸気を作る(熱エネルギー)
③水蒸気の力でタービンを回す(運動エネルギー)
④電磁誘導で発電する(電気エネルギー)
※この仕組みは、後で出てくる原子力発電の仕組みと比較してみよう。


 

火力発電のメリット

 化石燃料を燃やせば発電できるので、天候などに左右されず、安定した発電量が確保できる。
 エネルギーの変換効率も高く、発電量も調整可能。

火力発電のデメリット

 石油などの資源が将来枯渇する。そこまでいかなくても価格変動が大きい。特に日本はそのほとんどを輸入に頼っているのでリスクがある。
 石油などを燃やすので二酸化炭素、さらには窒素酸化物(NO)や硫黄酸化物(SOx)など人体や環境に悪影響をもたらす物質が発生する。
 ※これらの点は、先で出てきた水力発電のメリットと比較してみよう。

原子力発電

原子力発電の仕組み

①ウランなどの核燃料(核エネルギー)
②核燃料を燃やして高温高圧の水蒸気を作る(熱エネルギー)
③水蒸気の力でタービンを回す(運動エネルギー)
④電磁誘導で発電する(電気エネルギー)
※この仕組みは、先に出てきた火力発電の仕組みと比較してみよう。


 

原子力発電のメリット

 核燃料を反応させれば発電できるので、天候などに左右されず、安定した発電量が確保できる。
 少量の核燃料で発電が可能⇒その意味では運搬や保管がしやすい。
 石油などよりは資源供給のリスクが少ない
  ⇒ウラン原産国は、化石燃料の原産国より政情が安定しているところが多い
 発電によって二酸化炭素、NOx,SOxが発生しない。
  ⇒CO2が発生しないなら、地球温暖化の心配がない

原子力発電のデメリット 

 徹底した放射線の管理が必要。
 使用済み燃料などの放射性廃棄物をどう処分するかが未解決。
 事故が起きたらときの影響があまりにも甚大
 「発電量の出力調整が難しい」と言われることもありますが、技術的には可能のようです。ただ原子力は固定費が大きく可変費が小さい、つまり発電量を減らしてもそれほど安くならないので、火力や水力の方で発電量を調整してもらって、原子力は出力を一定にしているらしいです。

火力発電と原子力発電

火力と原子力については似ているところが多いので、共通点と相違点をおさえておきましょう。

共通点

 仕組み…水蒸気でタービンを回して発電する
 メリット…燃料さえあれば発電できるので、天候などに左右されず、安定した発電量が確保できる。
 デメリット…資源がいつかなくなってしまう
       発電により困ったものができる

相違点 

 仕組み…熱を出す方法が火力では化学変化(燃焼)だが、原子力では核反応(核分裂)。
 CO2など…火力では発生するが、原子力では発生しない。
 放射線リスク…火力では存在しないが、原子力では厳重に扱う必要がある。
 

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