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0522 硫酸

硫酸 H2SO4 7664-93-9 医薬用外劇物

硫酸は、無色の液体で、粘り気があり、濃度が高いと油状になります。(ただし熱濃硫酸は再び粘り気がなくなり、さらさらしています) 
濃硫酸にさらに三酸化硫黄SO3を溶かしたものが発煙硫酸です。

濃硫酸は弱い酸?!

 中学理科では強い酸性の水溶液といえばまず塩酸が挙げられ、硫酸は2番手という印象がありますが、一方で小中学生には「塩酸よりヤベーやつ」「なんでも溶かす」という印象をもたれることも多々あります。ま、ヤベーかどうかはさておき、硫酸は硝酸、塩酸と並ぶ強酸というのは間違いありません。

 で、濃度が90%以上だと濃硫酸と呼ばれます。ちなみに一般的な市販の硫酸は、濃度96%、密度1.84g/cm3、18mol/Lの代物です。

 だがしかし、意外なことに濃硫酸はそれほど強い酸ではありません。むしろ希硫酸の方が強い酸なのです。どうしてでしょうか。
 たとえば96%の濃硫酸は、4gの水に96gの割合で硫酸が溶けているわけです。いや硫酸多過ぎ、というか水少なすぎでしょう。ここまで水が少ないと、電離もままならない、つまりH(より正確にはH3O)をそんなにたくさん作れないのです。
 かくして、水の少ない濃硫酸は弱い酸で、むしろ希硫酸の方が水がある分強い酸になるのです。もちろん、ある程度以上薄まると酸も弱くなるのは道理ですが。

不揮発性

 塩酸は揮発性、つまり塩酸を常温で放置すると,溶けている塩化水素が蒸気となって空気中へ逃げていきます。
 これに対し、硫酸は不揮発性です。すなわち、常温で放置しても溶けている硫酸は水溶液から蒸気となって逃げることはありません。ところが、溶媒の水の方はというと蒸発してしまうので、硫酸がどんどん濃くなっていくのです。だから、白衣に希硫酸がかかっても、そのままにしておいたら、どんどん濃縮され、穴が開いてしまうことがあります。

吸湿性

 濃硫酸は、吸湿性が高く、空気中の水蒸気を容易に吸収してしまいます。なので、乾燥剤としても使うことができます。

脱水作用

 濃硫酸の水が大好きっぷりは、吸湿性にとどまりません。スクロース(砂糖)C12H22O11などから、無理やりH2Oを奪い取り、炭素だけにしてしまいます。これが脱水作用です。そこまで水が欲しいかお前は。
 C12H22O11 → 12C +11H2O
 なお、この実験に関しては、この動画がなぜかダントツに大人気です。理由はわかりません。

濃硫酸のうすめ方

 濃硫酸を水で薄めるときは、必ず水に少しずつ濃硫酸を加えていきます。
 硫酸は溶解熱が非常に大きく、また、水よりも密度が大きいため、濃硫酸に水を少し加えるとえらいことになります。
すなわち、
 (1)濃硫酸に水を加える
 (2)水が濃硫酸の上に浮く
 (3)でも境界面では濃硫酸と水が混じり溶解熱が発生する。
 (4)その結果水が突沸する
 (5)沸騰した水が濃硫酸とともに飛び散る
 (6)ギョエーッ! byまことちゃん
というわけです。

硫酸協会

 すごいことに、硫酸協会という団体があります。機関誌「硫酸と工業」。その他に「硫酸手帳」や「硫酸ハンドブック」も出版しています。
なお、塩酸協会や硝酸協会はググっても見つかりませんでした。硫酸は幸せ者です…。

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