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0121 硝酸カリウム、硫酸カリウム、炭酸カリウム

硝酸カリウム

硝酸カリウム 硝石 KNO3 Mw=101.10 CAS No.7757-79-1

 中学理科では、温度による溶解度の差を利用して、水溶液から結晶を取り出す実験に使われ、それほど危険な物質とは感じさせませんが、実際には、血液への毒性が特に強く、生殖毒性もある有害性もさることながら、黒色火薬の原料にもなっている危険な物質です。

 黒色火薬の材料は、硝酸カリウム(硝石)のほかに、木炭や硫黄がありますが、これらは可燃物としての役割に対し、硝酸カリウムはそれらに酸素を供給して燃焼を支えるものです。強力な酸化剤ですので、可燃性物質や還元性物質と反応するのです。
 また、400 °Cで分解し、窒素酸化物や酸素を生じるので、火災時はより危険になります。

 そのため、保管時には、可燃物及び還元剤との接触を避ける必要があり、火気と衝撃にも注意したいところです。というわけで危険物第一類 (硝酸塩類 危険等級Ⅰ)に指定されています。

水の温度により溶解度の差が大きい物質のひとつです。
そこで、お湯に硝酸カリウムを溶けるだけ溶かし…といいたいところですが、硝酸カリウムの溶解熱は-35kJ/mol、つまり水に溶かすと温度が下がります。
KNO3(固) + aq = KNO3aq - 35kJ 
また水溶液自体をあたためて硝酸カリウムを完全に溶かします。

そうしておきながら、また冷やしてみます。
試験管に入っていた硝酸カリウムを試験管の外から水で冷やしてみました。すると、綺麗な結晶が。

水溶液をスライドガラスにたらし、蒸発させた後顕微鏡で観察しました。

温かい飽和水溶液をシャーレに注ぎ、そのまま自然冷却して結晶ができるのをタイムラプスで撮影しました。

ふつくしい…

炭酸カリウム

炭酸カリウム K2CO3 Mw=138.21  CAS No.584-08-7
 弱酸と強塩基の塩ってことで、5%の水溶液でpHが約12のアルカリ性になり、目や皮膚への刺激があるので要注意。もちろん、飲み込んでもいけません。で、水酸化ナトリウムや塩化カルシウムと同様に潮解性があります。


 植物灰の主成分がこの炭酸カリウムで、古くから植物灰は洗剤に使われており、「アルカリ」という言葉は植物の灰を意味するアラビア語から来ています。
 高級ガラスや石けんなどの化学製品の原料になるほか、こんにゃくの原料、中華そばのかんすい等、食用にも使われます。あとカリってことで肥料もね。

松岡雅忠:草木灰からアルカリを抽出する,化学と教育 64(3) ,118-119,2016

硫酸カリウム

硫酸カリウム K2SO4 Mw=174.26  CAS No.7778-80-5

 硝酸カリウムが危険有害性がある、こわ~い物質なのに対し、うって変わって硫酸カリウムはこれといった危険有害性がない、穏やかな物質です。強酸・強塩基による塩のなせる業です。
 肥料の他、医薬品や化粧品などの添加物、ガラスの原料に使われます。


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