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0426 【火山と地震12】地震の伝わり方と地球内部の働き(5) 地震発生のしくみ

今日は、地震がどうして起こるのかを見ていきましょう。

世界の震源の分布です。
(出典:地震調査研究推進本部

 これを海底地形図(著作権の関係でここにはアップできません、日本のは気象庁にあるのですが)と組み合わせてみると1枚目の地図で震源の赤い点がある場所は、海底の地図では溝になっていたり、山脈になっていたりするところです。溝も山も海の底での話ですから、普段私たちが生活している分には、船に乗っている人たちでも気づきませんが、たしかに一致しています。

 そうすると、海底の溝や山と震源には何か関係がありそうです。

 では、この溝や山は何なんでしょうか。

 実は地球の表面は一枚につながっているわけではなく、10数枚(切れかかっているのものあるので数え方によって変わってきます)のプレートと呼ばれる厚さ100km程度の岩盤でおおわれています。10数枚のプレートがどんなふうにおおわれているかが次の図です。
(出典:名古屋地方気象台

それぞれのプレートは動いています。その速さは1年で1㎝とかせいぜい10cmというレベルですが、何万年、何億年とたてば、かなりの距離動いたことになります。

さて、世界の中で日本付近はどうなっているでしょうか。上の図では日本も赤い点が集まっているところにありますが…。

次の図は日本付近の4つのプレートです。矢印はプレートの動く方向です。もう、プレートの交差点という感じで、それだけ切れ目(溝や山)があるということで、地震が多いわけです。
(出典:気象庁

そして震源の分布。きれいにプレートの境目になっているのですが、ここで、○の色、つまり深さに注目してみましょう。
関東あたりから南南東にむかって(伊豆・小笠原海溝にそって)たくさんの震源がありますが、東側がオレンジ色など震源が浅く、西側が紫色など震源が深くなっていますね。東北辺りで見ると、太平洋側が震源は浅く、日本海側が深くなっています。
(出典:気象庁

次の図は、東北地方を東西に切った断面図を南側からみたものです。震源の分布に注目しましょう。
(出典:地震調査研究推進本部

まず、点(震源)は、図の右上から左下へ斜めに。つまり太平洋側は浅く、日本海側へ行くほどだんだん深く、並んでいるところ(黄色い丸の部分)が目立ちますね。この図と一つ上の図を合わせると、つまり海側にある太平洋プレートが斜めに沈んでいっていることが分かります。

そしてよく見ると、それとは別に本州の陸地のところ(赤い丸のところ)にいくつか点がポツポツあります。
これは、プレートの境目ではありません。でも地震が起こっているということは、先ほどのしくみとは別のしくみでも地震が起こるということです。どんなしくみでしょうか。

それぞれのプレートは思い思いの方向に動いています。すると、プレートがぶつかりあう境目付近では、プレート内部にもいろいろな力が加わります。このような力(正確には単位面積当たりの力)を応力といい(←工学の専門用語なので覚えなくていい)、英語でいうとストレスstressです。ストレスというと、「勉強のストレス」とか「人間関係のストレス」とか心にかかるプレッシャーをイメージする人が多いですが、もともとはここからきています。

するとですよ、私たちも心にストレスがたまると、だんだんいやな気分になってくるように、プレートにストレスがかかるとひずみ、つまり無理な変形が起こります。

プレートの境界に様々な力が加わり、岩盤はひずみが生じている。力は加わり続けるのでひずみも大きくなる。ストレスが溜まって
耐え切れなくなった時に何が起こるか。

プレートが壊れてずれが生じてしまう。それが断層です。
この断層ができるのと同時に、ゆれ、つまり地震が発生します。

断層のうち、浅いところで起きた大きな地震でできた断層は、簡単に言えば「弱い」ところですから、その後もずれやすい、つまり地震が起きやすいわけです。このような断層を活断層といいます。このような陸側のプレート内部での活断層の運動により発生する地震を内陸型地震と呼びます。

 地震発生のメカニズムというと、図でメカニズムの説明がわかりやすいということもあり、よく海溝型地震の説明だけが取りげられることがあります。そのため、地震といえば海溝型地震という誤解も意外に多く、プレートの切れ目から離れていれば地震は起こらない、だから日本でも地震があまり起きない地域がある、と考えている人も少なくないようです。1995年の阪神淡路大震災は内陸型地震でした。教える側も学ぶ側も、海溝型地震だけに偏らないように気をつけたいものです。

また、大陸プレートと海洋プレートの境界では、海洋プレートが下がるときに大陸プレートを引きずり込むため、大陸プレートがひずみます。そのひずみが限界、つまりストレスがマックス!になると大陸プレートは元に戻ろうとする急激に跳ね上がる(ストレスが溜まってブチ切れるようなものです)。これがプレートの境界付近を震源とする地震です。
このような地震を海溝型地震といい、津波を引き起こすことがあります。(出典:防災情報のページ – 内閣府)

津波については、また。

余談ですが、東北の断面図で青い丸で囲まれたタイプの地震は、ユーラシア大陸プレートと北米プレートの境目にあたりますが、その結果逆断層による地震が起きるということで、内陸型地震に分類されている、と私は解釈しています。

参考
地震の発生メカニズムを探る 発生のしくみと地震調査研究推進本部の役割

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