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0745 【日本の気象6】日本の天気の特徴6 台風という気団

熱帯低気圧

 熱帯で発生した低気圧が熱帯低気圧です。日本付近の低気圧は、温帯低気圧なので、日本ではふつう低気圧というと温帯低気圧をさし、熱帯低気圧はきちんと「熱帯低気圧」とよぶ、というのは以前やった通りです。

 ついでにいうと、温帯低気圧は寒気と暖気の2つでできているのに対し、熱帯低気圧は暖気1つだけの「気団」です。そのため熱帯低気圧の等圧線は比較的綺麗な同心円になり、気団と気団の境目である前線はありません。
 ということは熱帯低気圧は温帯低気圧のように寒気と暖気の温度差をエネルギーにすることができません。熱帯低気圧はためこんだ水蒸気が雨に変わる際に発生する潜熱がそのエネルギー源です。

台風とは

 熱帯低気圧のうち,風速17.2m/s(33.5knot、風力8)未満のものが「弱い熱帯低気圧」(tropical depression)、そして最大風速17.2m/s(33.5knot、風力8)以上のものが台風(Typhoon)です。
 実は台風と呼べる条件はもう一つあります。北西太平洋(赤道より北で東経180度より西の領域)または南シナ海に存在すること。他の場所ではハリケーンとかサイクロンなどとよばれていますが、これが結構ややこしい。くわしくはデジタル台風に丸投げ。

台風の天気図と雲画像です。

天気図は気象庁より、雲画像は高知大学気象情報頁より使わせていただいております。
雲画像を見ると渦を巻いている真っ白な雲の真ん中にポツンと青い点があります。台風の目ですね。それでは台風の目とは何なのでしょうか。

台風の構造

この画像はイラストAC様のものに加筆しました。

 台風は、たくさんの巨大な雲があります。雲ってことは上昇気流なのですが、なんと台風の目のところだけ下降気流なのです。そのため、雲ができないのです。
気象庁より
 しかもこのグラフを見てわかる通り、台風の中心付近は比較的風の弱い領域になっています。これが「台風の目」です。
 このように台風の目は台風の中心付近でありながら、風が弱く雲が少ない、という部分です。なお、台風の「中心」はもっとも気圧の低いところをさすので、「目」と「中心」は近くにありますが、あくまでも別物です。
 台風の目を取り巻く雲の壁がアイウォールです。発達した積乱雲らしく猛烈な暴風雨をもたらします。
 アイウォールの外側には、渦状に分布する降雨帯、スパイラルバンドがあります。ここでも激しい雨が降ります。
 なお、こういう図を見ると、台風ってそれなりの円柱形のような感じがしますが、高さが10~15kmに対し、直径が数百kmどころか1000kmを超えるものも少なくないので、イメージとして「円柱」というよりはCDのような「円盤」に近いです。

台風の経路

台風の多くは赤道付近の海上で発生します。そこでは「貿易風」と呼ばれる東風が吹いています。生まれたばかり台風は、この流れに乗って北西へ進むのですが、やがて夏の主役、太平洋高気圧(小笠原気団)から吹き出す風に沿って高気圧の周りを回って日本に近づいてきます。さらに北上していくと今度は偏西風の影響を強く受けます。
 台風というと9月のイメージが強いですが、発生数だけで見ると8月の方が多いです。でも、8月のような夏真っ盛りでは、太平洋高気圧の勢力が大きいことや偏西風が弱いことから日本海の方へ抜けがちで、日本列島への被害を及ぼすものは少なかったりします。ところが、9月になると太平洋高気圧の勢力もおとろえ、かつ、偏西風も強くなってくるので日本列島付近を通過するものが増えてきます。(もちろん一般論で、いくらでもわけのわからない例外はあります)
気象庁より

台風の災害・防災的な側面は、自然の恵みと気象災害のところで扱いたいと思います。

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