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0786 石垣市立石垣中学校 勉強会

 平成31年3月25日に沖縄県は石垣島で行われた、勉強会のオンライン資料です。
例によって旧ブログにあったこの記事を新ブログに移転したものです。

 研修会の復習や、他の先生への紹介、授業などでの関連サイトのリンクなど、ご活用いただければと思います。

 ご不明な点等がございましたらどうぞお問い合わせください。
物理に限らず、理科についてのご質問やご相談などでも協力できることがあるかもしれません。
お気軽にご連絡いただければと思います。

 あ、あとよかったらこのブログのほかの記事も見てやってください。理科に関係ない記事も多いですが。。。

女子中学生の物理あるある

中学理科、とりわけ物理的領域では力や電流、エネルギーなどの的確なイメージを作る(概念を形成)することが大切です。イメージがうまく作れないから最初からシャッターを閉じてしまうことがあるあるだし、と同時にある一点がわかっただけで、まるで急に視界がひらけたように、その先が一気にわかるようになることもあるあるなわけです。

(少なくとも中学では)数式でさえ、イメージ作りのための手段ともいえます。その証拠に、中学の理科で「2つの数量の間にはどのような関係があるのだろうか」系の問いでは、たいてい「○○は△△に比例する」という答えにおちつくじゃないですか。公式と言ったらたいてい比例か割合を表したものじゃないですか。つまり、比例とか割合のイメージを持たせるための手段なんですよ、数式ってやつは。

 学生時代、学習塾で主に中学を受験する小学生に理科だけでなく算数も教えていたのですが、小学校の算数では、それどころか中学入試の受験算数でも、問題を方程式を使って解くことは禁じ手とする考え方が根強いです。
 特に注目するのは、受験テクニックを教え、問題が解けるなら手段を選ばない感じのする受験対策の進学塾の多くがその考え方を支持し、方程式を使って教えていないこと。代わりに「鶴亀算」とか「過不足算」とか「ニュートン算」とかいって、線分図だとか面積図だとかを駆使して問題を解きます。問題自体は方程式を使って解くことも可能であるにもかかわらず、です。
 その理由は、「方程式は抽象的なので、小学生にはイメージがつきにくく、意味を理解しながら方程式を立てることが難しい、そのため間違ってもどこで間違ったか理解しづらいから」ということのようです。
 確かに私たち大人にとっては方程式は万能に見えますが、それは抽象化することで汎用性を高めてしまっているからで、それは見方を変えると個別具体の部分を捨てて、問題条件のイメージをもてなくしているからともいえます。新幹線でスピーディーに移動できるようになったことと引き換えに、各駅停車に乗っていた時の情緒がなくなったみたいな感じでしょうか。
 

だから、例えばオームの法則をやみくもにボルトはアンペアかけるオームというのを無理やり覚えさせるのではなく、まずしっかり電流電圧、抵抗のイメージを持たせることが大切なのですよ。

で、そのイメージづくりなのですが、それには丁寧に段階を追っていく必要があります。ところがそのイメージづくりの段階で、たった1か所、生徒にとっては大切なものが、教師にとっては当たり前のことだろう、見ればわかるだろう、当然の前提だろう、と思って触れないでおくと、そこからイメージが正確に作れなくなる、つまり、わからなくなる。これを繰り返すとシャッターを閉じてしまう。

これの生徒にとっては大切なのに、教師にとっては取るに足らないことでその重要性に気づきにくいものを、私は「自転車のカギ」と言っています。

ちなみに、それと同じようなことを芥川龍之介はそれを「マッチ箱」と表現しています。

人生は一箱のマッチに似ている。重大に扱うのはばかばかしい。しかし重大に扱わなければ危険である。(芥川龍之介『侏儒の言葉』)

 なんか、「敵に回すと恐ろしいが、味方につけると頼りない」みたいですが、それはさておき、今日は、この、わかっている教師は「重大に扱うのはばかばかしい(その必要はない)」と思っているため重大に扱っていないので、生徒が危険になっている(わからない)という「自転車の鍵」なり「マッチ箱」なり(「一気にわかるスイッチ」となるたいていの場合些細な知識や考え方)を、これをたくさん見つけてみんなで共有すれば、これ、理科教師のすごい大切な財産になるはずです。ということで、課題。

課題:物理的領域を学習するにあたっての「自転車の鍵」を見つけて共有しよう

私の経験から、生徒と話していていて、「自転車の鍵」を見つけた、「一気にわかるスイッチ」が押された場面です。どこにどんな鍵が隠れていたのか、探してみましょう。

1.「オームの法則がどうもわからない。というか、電流電圧って、何が違うの?」

関連質問「どうして 電流計は直列に電圧計は並列つなぐの?」(電流・電圧のイメージを基にするため、電流計を並列につなぐとショートして壊れるから、という話はおいておきます)

2.電力と電力量って何が違うの?

3.右ねじの法則、授業で習ったときはできたのに、問題を解いたら間違ってばっかし???

4.電流の正体が電子なのに、電流の流れる向きと電子の流れる向きが逆って、意味分かんない!

5.モノコードの実験で、音が高くなるか、低くなるかは覚えなくちゃいけないですか。、すぐごっちゃになるのですが。

6.2力のつり合いと作用・反作用の違いがわかりません。

7.先生方でこのような「自転車の鍵」を見つけたことはないでしょうか。どんなことでも(何だったら物理でなくても)いいので出し合ってみましょう。


いろいろな「自転車の鍵」を見つけて共有できたと思います。

ぜひ、多くの先生方とご自分の見つけた「自転車の鍵」を共有しながら、生徒の学力向上に役立てていただければと思います。

おまけ教材
光の屈折シート
染色体ファイル
前線の雲

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