受験生の皆さん、お疲れさまでした。今年は英語リーディングが大変だったようですね。
さて、恒例のシリーズ「中学理科で解ける共通テスト」2024年版行ってみましょう。
トップバッターはいつもの物理基礎です。
第1問
問4 白熱電球およびLED電球のエネルギー変換について考察した次の文章中の空欄[ア]・[イ]に入れる数値の組合せとして最も適当なものを後の ①~⑧のうちから一つ選べ。
電球が消費する電力量のうち,光エネルギーとして放出される量が占める割合を,電球の効率と呼ぶことにする。消費電力60W 効率10%の白熱電球が1時間点灯する間に放出する光工ネルギーは[ア]Whである。また, 同じ時間点灯する間に,この白熱電球と同じ大きさの光エネルギーを放出する,消費電力15WのLED電球の効率は[イ]%と見積もられる。
中学3年のエネルギー変換効率の問題。
60Wで1時間なら消費電力量は60W×1h=60Wh。光の変換効率が10%なので60Wh×10/100=6.0Wh …[ア]
同様に消費電力15WのLED電球を1時間使うと15Whになるので、このうち放出した光エネルギーが6.0Whってことは、効率は6.0Wh/15Wh×100%=40% …[イ] よって ①
第2問
Aさん:糸でジャガイモをばねはかりにつるし、水を入れた計量カップに徐々に沈めてみよう。
Bさん:ジャガイモの下端Pの水面からの深さと、ばねはかりの値から、浮力の変化がわかるんじゃないかな?
Aさん:そうだね。Pが水面より上にあるときは深さを負の値とすればいいね。 せっかくなので計量カップの下にキッチンはかりを置いて実験してみようよ。
図1のようにAさんとBさんの二人は水を入れた計量カップとジャガイモを用いて実験を行った。
AさんとBさんは、結果を図2の二つのグラフにまとめて議論している。
問2 次の会話文中の空欄[ア]・[イ]には、それぞれ直後の{ }内の数式および値のいずれか一つが入る。入れる数式および値を示す記号の組合せとして最も適当なものを後の①~⑨のうちから一つ選べ。ただし糸の質量と体積は無視できるものとする。
Aさん:ジャガイモが計量カップの底についていないとき、ジャガイモにはたらく力について考えてみよう。
Bさん:ジャガイモにはたらく力は浮力と重力と糸の張力だね。
Aさん:浮力の大きさをF、重力の大きさをW、張カの大きさをTとすると、
[ア]{(a) F=T+W (b) F=T-W (c) F=WーT} の関係があるね。
Bさん:図2の上のグラフから読み取るとジャガイモ全体が水に沈んだときの浮力の大きさは、
約[イ]{(d) 0.2 (e) 1.0 (f) 1.1 } Nだね。
問題文が長すぎとか、図2を選択肢の後に載せるのはいかがなものかとか、AさんとBさん、お前ら2022年に王女と細工師やってただろ、とか、言いたいことはたくさんあるのですが、それはさておき。
浮力の話です。[ア]は、下向きの力である重力Wと、上向きの力である浮力Fと張力Tの和が等しい、すなわち釣り合っている、ということです。W=F+T なので F=W-T …(c)
図2の上のグラフを見てみよう。点Pが水面より上の約1.08Nのところは、おもりが水中に入っていない、つまり普通につるしたときだからおもりの重力が1.08Nだとわかります。そしてPが水面より下になると0.08Nくらい、これが水中での張力T、あとは F=W-T ということで約1.0Nですね …(e) ⑧
Aさん:図2の二つのグラフでは、キッチンはかりの値が大きくなるとばねばかりの値は小さくなるね。
Bさん:その関係をグラフで表してみよう。
問3 ばねばかりの値とキッチンはかりの値の関係を表すグラフとして最も適切なものを、次の①~⑥のうちから一つ選べ。
浮力、つまりばねばかりが楽した分だけキッチンはかりにしわ寄せがくる。つまり
ばねばかりにかかる力 + キッチンばかりにかかる力 = 一定
これが分かっていれば答えはこれしかない。 ④
問5 次の会話文の空欄[ウ]・[エ]にはそれぞれ直後の{ }内の語句のいずれか一つが入る。入れる語句を示す記号の組合せとして最も適当なものを後の①~⑨のうちから一つ選べ。
Aさん:ジャガイモが計量カップの底について糸が緩んでいるときに、ジャガイモにはたらいている力はどうなっているのかな?
Bさん:ジャガイモにはたらく力は計量カップの底からはたらく垂直抗力と
[ウ]{(a)重力 (b)重力と浮力 (c)重カと張力}だね。
Aさん:そうすると、ジャガイモに計量カップの底からはたらく垂直抗力は水がない場合と比ぺると、
[エ]{(d) 大きくなる (e)同じ大きさだ (f)小さくなる}ね。
糸が緩んでいると張力はないから、重力(下向き)、浮力(上向き)、垂直抗力(上向き)の3力で釣り合うことになる。… (b)
水がなければ当然浮力はないので 重力の大きさ(下向き)=垂直抗力の大きさ(上向き)になる。しかし、水があると浮力が支えてくれる分だけ垂直抗力は小さくなる。… (f) ⑥
第3問
音の速さを異なる三つの方法で測定した。
問2 1番目の方法として,太鼓とストップウォッチを用いて,次の手順で音の速さを測定した。
太鼓を持ったAさんとストップウォッチを持ったBさんが,140m離れてグラウンドに立っている。Bさんは,Aさんが太鼓をたたくのを見てストップウォッチをスタートさせ,太鼓の音が聞こえたときにストップウォッチを止めた。このとき,ストップウォッチの表示は0. 42sだった。この測定値から音の速さを有効数字2桁で表すとき,次の式中の空欄[11]~[13]に入れる数字として最も適当なものを,後の①~⓪のうちから一つずっ選べ。ただし,同じものを繰り返し選んでもよい。
[11].[12]× 10[13] m/s
①1 ②2 ③3 ④4 ⑤5 ⑥6 ⑦7 ⑧8 ⑨9 ⓪0
第3問は音の伝わる速さの問題。
問2はこれ、仰々しく言ってるけど、音が140m進むのに0.42sかかったってことだよね。
140m÷0.42s=333m/s つまり3.3×102m/s ③③②
問3 問2で求めた音の速さは,教科書に書かれている式から求めた値よりも小さかった。AさんとBさんは,「その原因は測定時のストップウォッチの操作にある」と考えた。表1に示す,ストップウォッチがスタートした時間とストップした時間の組合せ(a)~(e)から,原因として考えられるものをすべて 選び,その記号の組合せとして最も適当なものを,後の①~⓪のうちから一つ選べ。
① (a)と(b) ② (a)と(c) ③ (a)と(d) ④ (a)と(e) ⑤ (b)と(c) ⑥ (b)と(d) ⑦ (b)と(e) ⑧ (c)と(d) ⑨ (c)と(e) ⓪ (d)と(e)
もはや物理の問題ではなく、単なる常識の問題…。速さが実際より遅くなったのは、本当の時間よりも長くタイムを計ってしまったことが原因。ということは、本当のスタート前にフライングして時間を測り始めたか、到着してからストップウオッチを止めるまでに時間差があったかの2つの原因が考えられる。(a)と(d)なので ③
問4 2番目の方法として,「ピッ」という音を一定の問隔で1分間に300回出す装置(電子式メトロノーム)を使い,次の手順で音の速さを測定した。
まず,AさんとBさんは,それぞれメトロノームを持って集まり,その場所で二つのメトロノームから出る「ピッ」という音が同時に聞こえるようにした。次に.一つのメトロノームを持ったAさんが,もうーつのメトロノームを持ってその場にとどまっているBさんから,ゆっくりと遠ざかっていった。すると,Bさんには「ピッ」という音がずれて聞こえるようになった。やがて. AさんがBさんから70 m離れたときに,再びBさんには二つのメトロノームから出る「ピッ」という音が同時に聞こえた。この結果から求められる音の速さとして最も適当なものを,次の①~⑥のうちから一つ選べ。
①280m/s ②300m/s ③340m/s ④350m/s ⑤370m/s ⑥420m/s
つまり0.2秒差が70m差なのだと。70m÷0.2s=350m/s ④
と、50点中22点分が中学理科と。まずますの滑り出しです。
ちなみに今年は「弟」だけいてお姉さんは登場しませんでした。出題者、お姉さんよりも弟が好きなんじゃないか疑惑が!
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