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1988 はじめてのリスクアセスメント @school 実践編

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1543  はじめてのリスクアセスメント @school (18) 保護手袋
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1551  はじめてのリスクアセスメント @school (20) リスクアセスメント結果の労働者への周知、記録

というわけで、化学物質等リスクアセスメントを実施して実施記録をご提出ください出しやがれコノヤローと依頼があったのでCREATE SIMPLEクリシン使ってみたわけだ。

で、やってみて思った中学校でのリスクアセスメントの特徴というのは

・実験の種類がたくさんある。
・実験の種類ごとに使う化学物質が違う
・ただ一つの実験の種類は基本的に年に1度しかやらないし、量も少な目、長時間やることもない。
 (例外として石灰水を使って二酸化炭素の検出をすることなどがある)
・最初に準備しする物質だけでなく、実験中に発生する物質もやべーものがある(硫化水素とか塩素とか)
・換気設備も大したことなく、局排なんか使えない。(ただし中高一貫校の化学室だとドラフトチャンバーがあるところも)
・生徒の手前、防毒マスクや化学防護手袋など本格的な保護具も使いにくい(白衣、保護眼鏡、薄いポリエチレン製の手袋くらい)

というところかな。総じて種類は多いけど、一つ一つは短時間で少量。そしてリスク軽減策がとりにくいという特徴があります。

今回のリスクアセスメントを行った実験というか作業と関係する対象物質をざっとあげると以下のようになります。

・酸素の発生…過酸化水素、酸化マンガン(Ⅳ)
・二酸化炭素の発生、酸性の水溶液(塩酸)の性質…塩化水素
・硝酸カリウムの再結晶…硝酸カリウム
・蒸留…エタノール
・炭酸水素ナトリウムの熱分解…炭酸水素ナトリウム
・二酸化炭素の検出、アルカリ性の水溶液(石灰水)の性質…水酸化カルシウム
・水の電気分解、アルカリ性の水溶液(水酸化ナトリウム水溶液)の性質…水酸化ナトリウム
・鉄と硫黄の反応…硫黄
・酸化銅の炭素による還元…酸化銅(Ⅱ)
・質量保存の法則…塩化バリウム、硫酸
・アルカリ性の水溶液(アンモニア水)の性質…アンモニア
・イオンのなりやすさ、ダニエル電池(硫酸銅)…硫酸銅五水和物
・イオンのなりやすさ、ダニエル電池(硫酸亜鉛)…硫酸亜鉛七水和物

一見作業ベースで書いているように見えますが、実際は物質ベースでアセスメントを行います。
たとえば塩酸は二酸化炭素の発生や酸性の水溶液(塩酸)の性質の他にも、水素の発生、タマネギの細胞をバラバラにするとき、硫化鉄にたらすなどちょくちょく登場します。それらをまとめてリスクアセスメントするわけです。
 逆に酸性・アルカリ性の水溶液の性質を調べる実験では、塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム水溶液、アンモニア水、石灰水と別々にリスクアセスメントを行うわけです。(それぞれほかの実験でも登場するのでそれほど大変でもありませんが)

 塩酸といえば、クリシンで塩酸を入れようとすると塩化水素として登録します。このとき、液体、5wt%とか設定しても、どうもリスク判定として気体の塩化水素として処理しているようで、鈴木雅之ばりに「違う、そうじゃない」とツッコみたくなります。ちなみに福井大学のNew Risk Assessmentで提供されているリスクアセスメントシステムでは「塩化水素」と「純水」の2成分で設定すると、ちゃんと高圧ガスではなく水溶液として処理してくれるようになっています。硝酸。じゃなかった、賞賛。

 さて実際の作業ですが、クリシン自体がマクロ付きのエクセルファイルになっていて、「リスクアセスメントシート」「実施レポート」「結果一覧」などのタブがあり、

①「リスクアセスメントシート」から実験ごとの物質の種類や使用状況を入力し、リスクの判定をします。
②判定されたリスクをもとに「実施レポート」でリスク低減策を検討し、再判定し、検討結果を入力します。
③ここまでの内容を「結果一覧」に記録します。
④また別の実験(物質)について①からやっていきます。

こうすると「結果一覧」のところに様々な実験でのリスクアセスメントの実施結果が集まるので、もうこれは立派な実施記録。ファイルごと保管すればよしと。

ということでこのファイルをここにアップロードしようと思ったのですが、マクロ有効のエクセルファイルがアップロードできないのがwordpressの仕様みたいなので、「結果一覧」のところだけ切り取ってアップしました。

 名前のところだけ変えてそのまま「うちのリスクアセスメント記録です!」とかやるなよ、やるなよ、絶対やるなよ!

New Risk Assessment|福井大学工学部技術部安全衛生管理推進グループ
化学物質の自律的な管理(2022年安衛法令改正)総合サイト|実務家のための労働安全衛生のサイト

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